「勉強、子育て、家事、仕事・・・チャンネルを切り替えて」 山本美和子さん

山本美和子さん

 バベル翻訳大学院(USA)で、いつも新たな発見をさせていただき、ここまで来ることができました。大学院全体を大きく見ると、翻訳家として独り立ちすることを大前提に捕らえた、翻訳の論理、実践、法律上の権利、出版社側が翻訳者に求めるものや流れ、インターネットを活用してのサーチ方法や、会計な科目が包括的に用意されています。細かな視点から見ると、例えば、翻訳英文法の単語篇では、どのような辞書を用意したらいいのか、立体的に単語を捕らえ直してはじめて日本語として自然な名訳がやっと出てくることを教わります。第一線で活躍されているプロとはこんなにも多くの辞書を用意するものだとは知らず、それまで、七年間細々と翻訳の仕事をして参りましたが、名訳ならぬ迷訳を披露していたかもしれない自分にメスが入れられました。翻訳英文法の文法篇では、自然な日本語の構造を加味し、なぜFather is the last man to be accused of taking bribes.が「父は絶対、賄賂を取ったなどと非難されるようなことはしない」となるのか、段階を追って教わったとき、衝撃的で、瞬時にこの技術が身につきました。

 また、翻訳の修士号を自宅で目指すということは、素晴らしいことではありますが、少数派でもあります。ややもすると勉強に行き詰ってしまいがちです。しかし、当校には親身になって誠実にアドバイスしてくださるカウンセラーがいらっしゃいます。特に草柳さんにはこれまで何度もお励ましをいただき、ここまで来ることができました。また、科目の中で分からなかったことは直接担当の先生に伺い、いつも熱心な回答をいただきました。

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 現在私は、アメリカで6才と5才の子育てをしながら、また、自営業も横目で気にしながら勉強を続けておりますが、不器用な私でも、進めていくうちに自然と頭の中に、勉強、子育て、家事、自営業のチャンネルが出来上がるようになりました。私の勉強時間には、あれとこれをやろう、と考えて取り組み、学校へ子供を車で迎えに行ったあとは、対話、現地校の宿題、日本語の勉強、習い事の練習のお手伝い、晩御飯にチャンネルが切り替わると、手っ取り早いこれにしよう、食器は皿洗い機に任せようと切り離して考えられるようになりました。もっとも時々チャンネルが故障し、ふと訳文のことで頭が一杯になり、お話聞いていないの? と子供や主人に怒られることもありますが…。

 時間は優先順位を考え、食材などの買い物は週に一度にしたり、食事の支度は簡単レシピを利用するなどして、消しゴムのかすをかき集めるようにして、捻出して参りました。あらゆる可能性を考えだすと、本当にすがすがしい気分になります。

 もちろん予定通りに行かないことも多く、裏庭に出没するオポッサム(フクロネズミ(有袋類で子供を背負って行動する習性がある))を見て自分のようだな、とひとり苦笑することもあります。しかし学習を苦に思ったことは一度もありません。子供からは勉強への意欲をもらい、周りの方々からお力添えをいただき、ずっとしたかった勉強ができるのですから、感謝にたえません。

 今は、修了作品として、入学当初から希望していたメンタルヘルスに関する本を翻訳しています。将来は、いじめ、ひきこもり、自殺、結婚などの社会問題を抱える日本の方々に役立つようなメンタルヘルスの本を中心に翻訳することが目標です。