世界で働く翻訳者の条件 ― 世界のイチローをめざす!

米国翻訳専門職大学院(USA)副学長 堀田都茂樹

皆様は翻訳者として未だ国内という枠に縛られて仕事をしていませんか。

・取引先(クライアント、翻訳会社)はトランスナショナルにしていますか。
・トランスナショナルなプロジェクトに参加した経験はありますか。
・報酬は円、ドル、ユーロいずれで受けていますか。

Nomadワーカーという言葉も聞いたことがあるかと思いますが、企業に先行して個人がますます国の枠を越えた新しい就業形態を定着させつつあるように思います。
ましてや、翻訳者という職業を考えると、一国の枠を越えて就業することは当たり前の時代になりつつあります。

次月の本誌The Professional Translatorの特集では、4回にわたり、トルコ在住の‘グローバルトランスレータ’であるハクセヴェルひろ子さん(米国バベル翻訳大学院修了生)、そして、世界中で翻訳、通訳業を営む、バベルの院生、修了生から、翻訳者として国を跨いで働く上でのノウハウを語っていただきます。

以下は、来る9月2日に、ハクセヴェルひろ子さんが日本翻訳協会主催のセミナー「世界で働く翻訳者の条件」で講演される内容です。
http://www.jta-net.or.jp/seminar_global_translator.html

1.グローバルトランスレーターになろう
・円高はチャンス?
・ISO17100:2015の発行で翻訳業界はどう変わるか

2.グローバル翻訳市場の最新状況
・グローバル翻訳市場の二極化と求められる翻訳者像
・自分で働き方を決める

3.グローバル翻訳市場で活躍するには
・翻訳支援ツールの使いこなしと生産性
・自分を売り込むためのマーケティングスキル

4.グローバル翻訳市場に存在するリスクとリスク管理
・リスクの種類(国別、ウェブサイト偽装、PC)
・リスクを軽減するには

前後はしますが、翻訳者個人の仕事の仕方の前に、翻訳の仕事の発注もとである企業が現在どういう状況にあるか、そこから話を始めましょう。

企業活動のグローバル化への進化という視点から見てみましょう。

企業のグローバル化の4つの進化ステージ
1.Domestic Stage
2.International Stage
3.Multinational Stage
4.Globally Integrated Stage

一般的に企業は、国内で作り、国内で売る、国内マーケットからスタートし、第2ステージでは、「海外で作る・海外で売る」、すなわち、本社にすべての機能が集約され、海外子会社が製造、販売等の一部の機能を担当するステージへと移ります。
そして、第3ステージでは「海外への権限委譲」が進み、本社には共通機能のみが集約され、自律的子会社が設立されることになります。
そして、第4、最終ステージでは、「地球でひとつの会社」、世界中で一番ふさわしい場所にそれぞれの機能を分散させ、最適地で経営資源を調達する段階となります。

こうして、企業の進化過程を見ますと、皆さんがお仕事を受注している、もしくはしようとしている企業が現在、どのステージにあるかを考えてみましょう。

そして皆さんが次に考えるべきは、こうした企業の進化の段階によってどんな文書が発生するかということです。そのためには、まず、購買・仕入⇒製造⇒出荷・物流⇒販売・マーケティング⇒回収という、企業の基本ビジネスサイクルでどんな文書が発生するかを改めて考えてみましょう。

そして、次に、このビジネスサイクルを側面からささえる機能
   法務
   会計・税務
   インフラ管理
   人事・労務
   研究開発・知財
の分野で、どんな翻訳が発生するかを考えてみましょう。翻訳の仕事をデザインするには
まず、相手(クライアント)を知ることが必要です。

さて、ここで本題に戻ります。

世界で働く翻訳者の条件を考えるには、対処療法的な視点ではなく、
まず『My marketを創る』ことから始めましょう。

すなわち、あなたのUNIQUENESSをベースに自分の生存領域を創ることが先決です。

以下が、バベルの大学院の専攻ですが、皆さんはどのマーケットでどんな翻訳者をめざしているのでしょうか。できれば、以下の5つの更に下位の分野まで落とし込みましょう。
その上で、その分野の周辺に職域を拡げることは健全なアプローチです。

・出版翻訳マーケット
・金融・IR翻訳マーケット
・特許・技術翻訳マーケット
・医薬・バイオ翻訳マーケット
・法律翻訳マーケット

そして、そのドメインが決まったら、もう関係者には耳たこでしょうが、以下の3つの翻訳者として成功するための3つのブランディング確立することです。

1つ目は、マスター・ディグリーを取得する!!
ISO17100でも、翻訳者たるもの翻訳のデグリーを持つことを第一要件としています。ご承知のように、バベルの翻訳大学院の修士号(MST)は米国教育省が認可した教育 品質認証団体 ( DEAC ) のメンバー校として米国連邦政府が認証する資格です。

2つ目は、翻訳書を出版する!!
翻訳出版することが翻訳者としての強力なブランディングです!!ビジネス翻訳者というと得てして、出版翻訳とは無縁と考えがちですか、とんでもない。文芸分野はもちろん、金融IR、特許・医薬・技術、リーガルなど社会、自然科学分野の書籍で翻訳されるのを待っている出版物は数限りなくあります。

3つ目は、翻訳の世界標準資格をとる!!
翻訳力の第三者認証を受けることが第三の強力なブランディングです。 翻訳の修士号(MST)取得に加え、翻訳業界の世界標準資格を取得してください。
業界で30余年の実績を持つ一般社団法人日本翻訳協会が実施する翻訳専門職資格試験、翻訳出版能力検定試験、翻訳ビジネス能力検定試験、翻訳プロジェクトマネージャー試験等、ご自身の専門とする分野の資格を取得ください。
http://www.jta-net.or.jp/index.html

世界で働くためのリスクマネージメントを考える以前に、以上の3つのブランディングが不可欠です。

The Professional Translatorの次月からの特集は、海外で翻訳者として働く際の、リスクマネージメントを主体に話を進めていきます。

忘れてはいけないのは、まず、しっかりとした自身のキャリアデザインです。

自らを知り、自らを信じ、その生き方を自分流にデザインし、これを生き切るイチローのような生き方です。パワーヒッターが多い大リーグにあって彼は長打をめざさず、俊足を生かし、ヒットメーカーという独自の路線を創りだし世界のオンリーワン、いや世界一を実現しているのです。

以上

– 副学長から聞く - 翻訳専門職大学院で翻訳キャリアを創る方法

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