GLOCALISMの潮流にみる翻訳の意義

GLOCALISMの潮流にみる翻訳の意義

米国翻訳専門職大学院(USA)副学長 堀田都茂樹

Brexit(Britain+Exit), 英国の国民投票によるEU離脱の衝撃は、日本、そして世界の経済、政治に大きな影響を与えつつあることはご承知かと思います。
円高、ドル高、株安、貿易の縮小、難民の無制限な移動の制限と世界はある方向急展開しつつあることを実感させます。

EUは解体に向けて歩む?のかもしれません。実際、オランダ、イタリア、オーストリア、フランス、デンマーク、スウェーデンももしかしたら、という状況のようです。

では、このBrexit以降、世界はどんな方向へ急展開しているのでしょうか。
それは、
  GlobalismからNeo-nationalism (Localism)へ
  国境を無くし、人の交流を自由化し、市場を開放する方向から、難民の無制限な移動の制限をし、国家を取り戻す方向へ
ElitismからPopulismへ
    国際金融資本家に代表されるエリート主導から大衆主導の時代へ

ここに、ヒラリーVSトランプの構図も見え隠れしています。

翻って、翻訳を考えてみましょう。英語至上主義、日本でも喧しく企業内の英語公用語化の話題がマスコミを賑わせていますが、これこそグローバリスト、国際金融資本家の思う壺。

最近では日本の東大がアジア地域での大学ランキングが昨年までの第一位から七位に転落とマスコミでは自虐的論調が聴かれますが、おそらくその理由は、授業が英語で行われている割合が少ない、執筆される英語論文の割合が少ないなどが問題にされているように思います。

しかし、考えてみてください。英語圏以外で先進の学問を日本語、自国言語で学べる国は日本以外ではあるでしょうか。また、世界中の古典が読める稀有な国日本。

今まさに、大きな潮流は、ローカル、それもグローカル、開かれたローカリズムの時代に突入しつつあるように見えます。

ここにこそ翻訳の意義があります。個々の自立した文化をお互いに尊重し、そのうえで翻訳による相互交流を行う、そんな翻訳的価値が見直されています。

皆さんは‘遠読’( Distance reading )ということばをご存知でしょうか。Close Reading、精読に対して言われる用語です。これまで世界文学を語るときは常に原典主義をとってきたわけで、自ずと英語をはじめとする主要言語で世界文学が語られてきたわけです。しかし、世界文学を語るときにマイナー言語の国の文学も視野に入れるべき時代で、その際採用されるのが‘遠読’??なのです。つまり翻訳で読むわけです。

米国では今、多言語の翻訳出版の会社が続々と起業され、イギリスも英連邦の本のみを対象にしていたブッカ―賞をゆくゆくは、翻訳文学も対象にすることを考えていると言います。マイナー言語のプレゼンスが高まってきたと言えそうです。更に面白いのは、自分の作品が英語に訳されることを想定して書く作家も出てきているということです。

ことほど左様に、世界は個々の自立を前提にそのコミュニケーションの方法論として‘翻訳’を求めています。グローバリストの脅し、誘惑に左右されずに、これからの世界における翻訳の意義を堂々と主張しましょう。

お互いの文化を尊重し翻訳を通じてハーモナイゼーションを計る、素晴らしい時代の到来です。

– 副学長から聞く - 翻訳専門職大学院で翻訳キャリアを創る方法

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