NEW! バイリンガルマネージメントの時代へ

バイリンガルマネジメント

バイリンガルマネージメントの時代へ

米国翻訳専門職大学院(USA)副学長 堀田都茂樹

最近はオールイングリッシュ、オールイングリッシュと各界で喧しいのですが、小学校からの英語教育、大学の講義の英語化、企業の英語公用語化などが典型ですが、これはいささかグローバリズムに侵された観が否めません。英語特区などという冗談まで政府筋から聞こえてくる始末です。英語特区、すなわち、ある地域では公共サービスを含めてすべて英語で行うという治外法権(?)特区です。

では今回は、改めて企業のグローバル化に視点をあてて、考えてみたいと思います。

以下の資料が、バベルで2010年に刊行した雑誌『バイリンガルマネージメントマニュアル』です。

ここでは企業のグローバル化、その進化過程(進化なのか退化なのか、疑問を呈するのも必要でしょうが)をたどり、それぞれの過程でなにが要求されるのかを理論と実践で考えてもらいました。

企業のグローバル化の4つの進化ステージ
1.Domestic Stage
2.International Stage
3.Multinational Stage
4.Globally Integrated Stage

一般的に企業は、国内で作り、国内で売る、国内マーケットからスタートし、

第2ステージでは、「海外で作る・海外で売る」、すなわち、本社にすべての機能が集約され、海外子会社が製造、販売等の一部の機能を担当するステージへと移ります。
そして、第3ステージでは「海外への権限委譲」が進み、本社には共通機能のみが集約され、自律的子会社が設立されることになります。
そして、第4、最終ステージでは、「地球でひとつの会社」、世界中で一番ふさわしい場所にそれぞれの機能を分散させ、最適地で経営資源を調達する段階となります。

 
企業内のビジネスコミュニケーションの英語化に関して、ここではバイリンガルコミュニケーション化ととらえ、決して、とある企業のように英語公用語化(オールイングリッシュ)とは間違っても考えたくないと思います。もっとも、これらの企業は英語公用語化を喧伝している一方、日本語と英語のバイリンガルマネージメントを実践しているというのが実態であるようです。なかにはトライリンガル、マルチリンガルへと発展していく場合もあるかと思いますが。

翻って、オールイングリッシュの状況を見てみますと、国レベルに置き換えるとわかるのですが、高等教育も含め英語を公用語にした国は、結局、英米属国、もしくは2流国に堕してしまうのが落ちなわけです。国名を挙げると問題もあろうかと思いますのでここでは控えますが、アジアのいくつかの国はこのような方向をとったがゆえに、英米に追従する国、文化の根っこを持たない国となってしまいます。

その点、日本人は過去に学び、襟を正して今の状況を直視する必要があるのではないでしょうか。

日本は明治の近代化で翻訳を通して知的な観念を土着化し、だれでも世界の先端知識に触れられる環境を創ってきました。ひとつ間違えれば、国の独立さえ危ぶまれた明治の日本は当時の英語公用語化論を退け、翻訳を通じて日本語による近代化を成し遂げました。

高等教育が日本語で行えるアジアの中でも稀有な国、日本。理工系のノーベル賞はアジアの他の国々を圧倒し、欧米に匹敵する数を獲得している日本。いったい、これは何を意味するのでしょうか。

日本語、日本の文化、日本人の知的インフラの潜在力を物語っているのではないでしょうか。その日本語と英語のバイリンガルで企業内コミュニケーションを考えるこれが他との競争力を高める方法と考えます。別の言い方をすれば肯定的な‘非関税障壁’にもなりうると思います。

誤解を生まないように言いますと、企業人にとって英語の習得が不要とは決して言っていません。これはもっと熱心に、‘正しい’方法ですべきと考えています。その方法はここでは言及しませんが。本誌で近いうちにこの連載を開始いたします。

話を本題に戻しますと、これからの日本企業は英語化して英米圏の企業になるなら別ですが、日本に根差してビジネスをするのであれば、先人の教えに則った方法としての‘翻訳’をしっかり堅持して、バイリンガルマネージメントを心掛けるべきと考えます。

7年前に刊行された雑誌『バイリンガルマネージメントマニュアル』ですが、基本的な考えはいまでも十二分に通用するものと考えます。というより、グローバリズムの軌道修正と共に現実がこの考えについてきたと言った方が正しいいとすら思います。

バベルグループは、米国の企業であるバベルコーポレーションも一体となって、翻訳から、ドキュメンテーション、通訳、外国語・異文化対応研修までバイリンガルマネージメント、マルチリンガルマネージメントを推進、サポートする企業体として今後も在りたいと考えます。

The Professional Translation 第185号 より

以上

 

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