翻訳家 MSTホルダー
(Master of Science in Translation)
聖絵(きよえ)・パリジェンさん

翻訳家聖絵(きよえ)・パリジェンさん 私はもとは言語の研究者になりたいと真剣に考えていたのですが、ちょっとした好奇心から、翻訳学校で学習したことがきっかけとなり、翻訳の道に進むことになりました。
その後、翻訳を手掛けている出版社関連の会社に就職して、翻訳の仕事を始めました。
独立してからは、それまでの実績や翻訳大学院での学歴が強力な後ろ盾となって、口コミで広がり仕事を獲得してきました。
翻訳のやりがいは、思考を集中させて結論へと結びつけて行くプロセスが楽しいと感じられる点です。
翻訳ができるから通訳もできるだろうということで、通訳を依頼されることも多いのですが、通訳のように瞬間的に言葉を処理していく作業よりもリサーチしたり、いろいろな要素を考え合わせたりしながら言葉を練り上げて行くプロセスにやりがいを感じます。
翻訳に向いているのは、いろいろな意味で頭が柔らかい人、そして忍耐力のある人だと思います。
顧客の視点、著者の視点、読者の視点などさまざまな視点から物事をとらえ、顧客のスケジュールの変更に対応するためには、柔軟性と忍耐が必要です。
また、翻訳の質は、リサーチをしたり推敲を重ねたりして訳文を練り上げて行く過程にどれほど忍耐強く取り組めるかということで差が出てくるものですので、この過程を楽しいと思えない人には、翻訳は非常に辛い作業だと思います。
翻訳学校で学ばずに実地で覚えていかれる人もいますが、自分が翻訳学校で実際に学んでみて、得られるものがいかに多いかを実感しているため、個人的には学校に行くことをお薦めします。いくら語学力があっても、実務経験も翻訳学校での学習的もなく仕事を獲得するのは難しいのが現状です。
翻訳を任せてもらえる可能性のある職場環境で働いている人でないのならば、翻訳学校での学習がきっかけとなって自分の方向性が見えてくるのではないかと思います。
私が今、主に関わらせていただいているのが、外資系企業の日本支社のお仕事です。
海外本社で起草された英語の文書を、日本で使用するために日本語に翻訳することが多いです。
また、日本支社で作成された文書を、海外の本社や英語を話す上層部が確認できるように英語に訳す場合もあります。
社内で使用される文書が多く、一般ではなかなか目にしない社内用語が頻出するため、顧客企業の運営内容や方針などを全般的に把握しなければ良いものが仕上がりません。
翻訳する時に気をつけているのは、誰がどんな目的で翻訳文書を使用するのかを、相手の立場に立って考えることです。
読者が違和感なく使える文書とはどんなものかと、限られた情報の中から最大限に察することです。
また、顧客の中には英語と日本語の読み書きさえ出来れば翻訳は可能なものと考えている人もおり、背景情報なしに文書だけポンと送られてくることがあります。
そのような場合には、顧客の迷惑にならない程度に、情報の重要性を考慮しながら適切に質問し、理解を求めます。
現在はビジネス翻訳が主体ですが、将来的には文芸方面に進み、日本に知られていない良書を翻訳して紹介出来るようになればと思っています。


【聖絵(きよえ)・パリジェンさん】
日本で英文学士号を取得、オレゴン州で言語学士号を取得。バベル翻訳学院通信講座で日英翻訳を受講後、ハワイ州で出版関連企業に就職し、翻訳とDTPを担当。その後独立して翻訳業を営むかたわら、Babel Professional School of Translationで修士号を取得。翻訳家としてのキャリアは約10年。