NEW! 「日本の言語は不便利にして、文章も演説も出来えぬゆえ、英語を使い、英文を用いるなぞと、取るにも足らぬバカを言う者あり(初代文部大臣森有礼)」 ― 福澤諭吉

今回は前回に次いで、福沢諭吉に学ぶ視座を小浜逸郎氏の著書『福澤諭吉 しなやかな日本精神』を参考に考えていきたいと思います。

「日本の言語は不便利にして、文章も演説も出来えぬゆえ、英語を使い、英文を用いるなぞと、取るにも足らぬバカを言う(文部大臣森有礼)という者あり」と喝破した福澤諭吉。

諭吉が「学問のすすめ」を発刊したとほぼ同時期に、初代文部大臣、森有礼が英語公用語論を唱えた時に、福沢諭吉が森を罵倒した言葉です。

私企業ならまだしも、安易に戦略特区で公共のサービスの場を英語化しようなどという提案をしている国と地方自治体、スパーグローバルユニバーシティを謳い、日本の高等教育を単純に英語化しようとしている文科省、おまけに英語教育の早期化を小学校で成算もなく進めようとしている文科省等々を考えると改めて諭吉のことばを戒めとしたいと思います。

また、英語を高等教育の言語に採用したシンガポール他、アジア各国、一方日本は日本語による高等教育を堅持しながらも、理系に関しては米国に次いでのノーベル賞を取得してきたという実績。しかし、残念なことに、2,000年を100として、科学技術関係予算の推移を主要国で比較すると、アメリカ、ドイツ、イギリスは1.5倍、韓国は4.7倍、なんと中国は11倍。対して、日本はなんと横ばいの1.06倍。技術立国を真っ向から否定していく政府には呆れます。

諭吉が教えてくれている、西洋と東洋の半ばにあり、日本の在り方を常に考えて、安易に西洋につくこともなく、東洋、日本、そして西洋もしつかり学ぶ姿勢は、日本政府はもちろんのこと我々がしつかりと獲得しておかなければならないでしょう。

改めて、日本の現状を憂い、日本の在るべき姿を問題意識をもって考える時期にきていることを昨今の日本政府の施策をみるたびに思います。

諭吉は明治維新というまさに転換期にこうしたことを考えていたわけですが、我々も今が転換期、転換しなければならない時期にきているという強い認識を持ちたいと考えます。

ご存じだったでしょうか、小浜氏の著書でも引用されていますが(京都大学大学院教授 藤井聡作成データ)OECDが発表している主要国の名目GDPの推移、1990年を100として、ドイツ、フランス、イタリアは200以上、アメリカ、イギリス、カナダは300以上、ところが日本はなんと横ばい。おまけに、1995年から2015年までの20年間の名目GDP成長率は世界の主要国80か国中、最低。いきおい名目賃金も20年間下がり続けているという惨状の日本。こんな現実を意図的にか?政府はもちろん、マスコミも一切触れていないという不可思議さ。

福澤諭吉が生きていればこう思うのではないかと思います。

現状の日本の亡国の3大危機と敢えて言えば、その最たるものは、国民の危機意識の欠如、国を想う意識欠如、いわば、‘ゆでガエルの状態の日本人’を思わざるを得ません。日本の経済的凋落(為政者の失政)を横目に、隣の大国、中国が着々と日本を侵略し(土地を買いあさり)、日本を属国にと目論んでいる状況の中で、今こそ目覚めるときが来ているように思います。

小浜氏も危機意識をもって強く主張しているのは、2つの亡国の危機。

一つは、財務省の緊縮財政路線。すなわち、成長を否定する財務官僚の愚策。これによる今回の各地の水害の主要因であるインフラの整備の遅れ、科学技術の予算削減による技術立国の危機、軍事予算の削減から隣国中国と圧倒的差を付けられつつある国を自力で守る力の弱体化。日本国の愚策は情けない限りです。

その背景には、国の借金1,000兆円、国民一人当たり800万円という財政破綻論のデマ。
国債の発行は全て円建てで破綻などありえない、おまけにあたかも国民に借金があるように(実は国民が債権者)プロパガンダをながしています。

二つ目の亡国の危機は、グローバリズム、新自由主義に対抗する考えが希薄なことです。実質的な移民化政策、教育の英語化、電力の自由化、水道の民営化等も実のところグローバル企業(中国も含む)の餌食にされているだけの現状をどこまで認識しているのでしょうか。

それもこれも日本独特の民間議員を野放図にした結果であることは承知しているでしょうか。議員でも何でもない財界の要人を、未来投資会議、経済財政諮問会議等の名目で参画させ、実のところかれらが自分たちの関連した企業に利益誘導をしている(健全なロビーイングならまだしも)、私利をむさぼる構造を生み出してしまった日本。

この稿では決して政治に深入りしたいわけではないのですが、今の日本を健全に憂うる姿勢が望まれます。

福澤諭吉は、一般に誤解されているような西洋かぶれではなく、真摯に日本を想い、西洋の文物をいわば‘翻訳的方法’で、しつかり咀嚼し、日本的な文脈で‘翻案’していく姿勢を堅持していました。第二の福澤諭吉の誕生が待たれます。

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